聞き手を惹きつける「アカデミック・プレゼンテーション」とは?
大学に通っていた人であれば、間違いなく1回や2回(あるいは20回という強者もいるでしょう)のプレゼンテーションをしたことがあるでしょう。その経験から、自分はスライド表示や箇条書きのプロだと過剰に自信がある人もいるかもしれません。しかし、学会発表や就職面接などで行う「アカデミック・プレゼンテーション」は異なります。自分の研究について隙なく、洞察力豊かに、かつ興味深くプレゼンすることは、想像よりもはるかに難しいのです。誰もが一度は、下手なスライドや分かりにくいプレゼンテーションをしている人を見たことがあると思いますが、自分も同じようなプレゼンターになりたくはないでしょう。ここでは、アカデミック・プレゼンテーションの最もよくある失敗を避け、自分の研究を強調しながらも魅力的で人目を引くパワーポイントを作る方法を紹介します。
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ターゲットに応じてメッセージを変える
大学卒業後、新しい業界に入ったばかりの頃、自分がどれだけ何も知らなかったかを思い知らされることになり、慣れるまで大変です。また、自分がどれだけ勉強すればいいのかさえ分からないことも多いでしょう。これと同様に、アカデミック・プレゼンテーションで犯しがちなミスの一つは、聴衆を過大評価(または過小評価)してしまうことです。よくできた興味深いプレゼンテーションを準備する前に、まずは聴衆についてある程度調べておきましょう。自分がプレゼンする場は、あらゆる業界の参加者が集まる巨大な会議でしょうか?それとも、同僚だけが集まる小さなシンポジウムでしょうか?自分がプレゼンを通して得たい職種は、ある分野に特化した専門知識を必要とする仕事でしょうか?それとも、自分の専門分野を広く理解することが求められる仕事でしょうか?そして、どういった人に向けて話しますか?まずは、自分がやろうとしているプレゼンテーションの背景を理解するようにしましょう。
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導入部分にこだわる
エッセイのイントロダクションがこの後の文章全体の詳しいアウトラインを読み手に提供するのと同じように、プレゼンテーションの始まりは、聞き手の期待感を高めるものでなければなりません。ですので、簡潔で要領を得たオープニングを心がけましょう。自分が誰なのか、何を発表するのか、どのように発表するのか、何を聞き手に理解してもらいたいのかを簡単に紹介し、配布資料や質問セクションなどについても軽く説明します。このように導入部分では、この後に続くプレゼンテーションの詳しいコンセプトを聴衆に理解してもらいましょう。スライドを使用する場合は、プレゼンテーションの簡単な概要から始めます。自己紹介をした後、聞き手がプレゼンテーションの内容をゆっくりと理解できるように、少し時間を置いてください。資料の配布が必要な場合は、ここで配りましょう。メモを取っている聞き手は、重要なフレーズやプレゼン内容を書き留めるために短い休憩が必要かもしれません。たとえ聞き手が準備万端であったとしても、少し間を置くことで、プレゼンテーターである自分自身も深呼吸をし、いったん考えを整理し、心を落ち着かせてから再開することができます。
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とにかく簡潔にまとめる
ほとんどの学会では、プレゼン時間が制限されていますが、たとえ時間が無制限であっても(可能性は低いですが)、あるいは大きな時間枠が設けられていたとしても、プレゼンテーションは簡潔に済ませましょう。聴衆の昼食時間を削ってしまうよりは、質疑応答の時間を十分に残しておくことが望ましいのです。しかし、どのくらいまでまとめると短すぎると思われるのでしょうか?これもまた、聴衆がどういった人かによります。ターゲットとなる聴衆が、取り扱うトピックを広く浅く知っている人たちではなく、その分野の専門家であるなら、多少長くて複雑なプレゼンテーションであっても許容されるかもしれません。それから、聞き手の知識量に関係なく、経験則から言うと、最低限必要となる資料だけは用意するようにしましょう。これは、自分の仮説、アプローチ、結論をきちんと理解してもらい、最後に聴衆が質問できるようにするためです。